Q-3:西洋医学が抗がん力を軽視する理由

1。西洋医学のがん治療は体の抗がん力(免疫力や自然治癒力)を軽視している証拠

世界中の医師の診療バイブルとして定評のあるメルクマニュアルには西洋医学の治療法の基準が記載されています。その最新版(第17版日本語版)に記載されている「がんの治療原則」の所を見てみましょう。そこには次のように書かれています。(一部抜粋、赤字は開設者による)

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癌治療の原則: 癌の治療を成功させるためには、原発部位、局所領域への進展、身体の他領域への転移を含め、全ての癌細胞を除去することが必要である。主な治療方法は手術や放射線療法(局所および局所領域の疾患に対して)、および化学療法(全身性疾患に対して)である。他の重要な治療法には内分泌療法(前立腺、乳癌、子宮内膜癌,など)、免疫療法(細胞を殺す内因性の免疫を高める生物学的応答修飾物質および腫瘍ワクチン)、および温度療法(冷凍療法と温熱療法)がある。集学的治療法はこれらの各療法の利点を結びつけた治療法である。

腫瘍学用語の臨床的定義は治療法の目標と進歩を明確にしている。治癒の可能性を得るためには,臨床的に明らかな疾患の消失を必要とする完全寛解または完全反応を達成しなくてはならない。完全寛解または完全反応を得た患者は治癒したようにみえるが,まだ生きている腫瘍細胞をもっている可能性もあり,いずれ再発を引き起こすこともある。部分反応とは,単一ないしは複数の腫瘍の大きさが50%以上縮小することである;部分反応は有意な緩和と生存期間の延長につながるが,腫瘍の再増殖は不可避である。患者は無反応であることもある。(以下、略)

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メルクマニュアルは診断と治療の世界標準となっていますから、ここに記載されている内容が西洋医学のがん治療の考え方です。がんの治療を成功させるためには「全てのがん細胞を除去することが必要」であると明確に記載しています。確かに、がん細胞を全て除去できれば治癒を達成したことになりますが、がん細胞全てを除去できなければ治癒を達成できないという考え方は間違いです。がん細胞が残っていても増殖しないで休眠状態に持っていくこともできます。、老衰で死亡した高齢者を解剖すると多くに癌がみつかるそうです。つまり癌と共存したまま天寿を向かえることも可能なのです。

全ての癌細胞を取り除くことの意義に関しては、抗がん剤の腫瘍縮小効果と延命効果は相関しない(がんを小さくする効果が強力なものが延命効果があるという証拠はない)、がんの手術で大きく取れば治癒率があがるものでもないなどの事実も十分考慮しておかなければなりません。

2。西洋医学が自然治癒力を軽視する理由

西洋医学の最先端の医学知識は個々の生命現象や治癒力の仕組みを具体的に明らかにしています。しかし、臨床医学としての西洋医学は体の治癒力を軽視し、それを妨げるような治療法が多くあります。病気の原因に特異的に作用するものなら食欲が落ちても構わないし、抵抗力を弱めても仕方ないという認識があります。がん治療の最中に全身状態に異常が起こった場合でも、たとえば栄養障害が起これば栄養補給を、脱水には輸液を、電解質の異常には電解質の補正を、胃腸障害や肝臓障害などが起こればそれらの治療を行うというように各論的に対処することが基本であり、これらの全てを対象に防ごうという視点は乏しいのです。

西洋医学が自然治癒力を軽視する理由として、現代西洋医学の基盤をなす唯物思想と要素還元主義がにあります。唯物思想とは、機能より形態を重視するという立場であり、生命力や自然治癒力といった目に見えないものに対しては対応できない弱点を持っています。病気の原因が特定できるときは、それに対する治療を優先してしまい、目にみえない抵抗力や治癒力は実感できないため、それらの力を十分活用することができません。この唯物思想は、こころの関与を軽視し、「心の働きが体の治癒系に作用する」という事実の理解を困難にしています。

要素還元主義は物事を可能なかぎり細かい要素に分けて解析する方法で、科学的手法の基本です。したがって、病人の診断や治療においても、科学を基盤とする西洋医学では、どの臓器に異常があるのか、どのような機能が障害されているのかと細かく分析することが優先され、その異常を取り除くことが治療の基本となり、体の自然治癒力を活用することには考えが及ばないのです。

このように、現代西洋医学の基盤をなす唯物論と機械的生命観は、体の自然治癒力を活用する上で妨げとなっています。臓器別に高度に専門化した診断法や医療技術の発展にもかかわらず、がん死亡が増加し続けているのは、がん細胞を取り除くことばかりに目がいって、体の抗がん力を活用することに目を向けないことが原因と思われます。

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