Q-07:免疫力を高める健康食品
   (β-グルカンや蛋白多糖を主成分とする健康食品は免疫力を高めて抗ガン力を増強する)

【概略】

きのこに含まれるβ-グルカンや蛋白多糖が免疫力を高めるメカニズムについては、「ガン予防」と「再発予防」の所でも説明しています。このような抗腫瘍多糖を抽出したり、吸収を高めるために加工したものがガンに効く健康食品としていくつも市販されています。その代表がアガリクスメシマコブAHCC冬虫夏草などであり、これらを組み合わせたものや他の成分を添加したものもあります。高価なものが効くとは限りませんし、類似品や効果のないインチキ商品もありますので、薬局やインターネットなどで納得いくまで調べることが大切です。ここでは製品の概略のみ説明します。

【アガリクス】

アガリクス茸という名前はマッシュルームの総称でその種類は幾つかありますが、その中でもガンに効くと注目されているのはAgaricus blazei Murill(アガリクス・ブラゼイ・ムリル)の一種類だけで、それを通称アガリクスと呼んでいます。輸入物の中にはAgaricus blazei Murill以外のアガリクス茸も輸入され安く販売されているケースがありますので、原料の産地がわからない加工品はよく調べる必要があります。 ちなみに、スーパーなどで販売されているマッシュルームは学名上はアガリクス・ビスポラス(Agaricus bisporus)といいます。

抗腫瘍活性の成分としてはβ-(1-3)Dグルカンとβ-(1-6)Dグルカンの一般的な二種類のβ-グルカンですが、アガリクスに含まれるβ-(1-6)Dグルカンと蛋白質の複合体に強い免疫力増強作用があるという報告や、その他のα-グルカンなどにも免疫増強作用が報告されています。

マウスの2箇所(わき腹)にガン細胞を植え付けて、片方の腫瘍内にアガリクスの成分を注射すると、腫瘍の縮小と同時に他方の腫瘍も縮小したという実験結果が報告されています。これはマクロファージやリンパ球の活性化による免疫力の増強が抗腫瘍効果と関連することを意味しています。

マウスにアガリクスを経口投与すると、脾臓のリンパ球のうちT細胞(ヘルパーT細胞とキラーT細胞)の数の増加が見られたと報告されています。

さらに最近、愛媛大学医学部生化学の奥田教授らのグループは、アガリクスの脂質成分であるエルゴステロール(ergosterol)をマウスに経口投与(体重1kg当たり400又は800 mg)すると、移植した肉腫の増殖速度が著明に低下することを報告しています。エルゴステロールにはガン細胞を直接殺す作用はなかったが、腫瘍の血管新生を阻害する作用が認められたそうです。従って、アガリクスの抗腫瘍効果は、アガリクスに特有のグルカンによる免疫増強作用の他に、血管新生阻害作用も関与している可能性があります。

【メシマコブ】

メシマコブは、桑の木に自生するタバコウロコタケ科に属するコブ状のキノコで、直径30cmの大きさに成長するまでに20年から30年もの歳月がかかることから幻のキノコとして貴重に扱われてきました。長崎県男女群島の女島(めしま)が有名な産地である事と、その姿がコブ状のキノコの為、メシマコブという名前がついています。

1968年に国立ガンセンター研究所からメシマコブの高い抗ガン作用が発表されていますが、栽培が困難なために実用化されないままでした。その後1997年に韓国で初めて製品化に成功し、抗ガン作用のある医薬品としても認可され医療の現場で使われはじめました。最近になってようやく日本でも製品化に成功し、高品質の物が利用できるようになり一般に知られるようになってきました。

韓国で 医薬品に認可されたメシマコブはPL2とPL5という菌株から作られた製剤です。これは学名をフェリナス・リンテウスというキノコの菌糸体を培養し、その有効成分を抽出精製した酸性タンパク多糖体の一種です。現在、韓国の多くのの医療機関で抗ガン剤として使われていますが、そのブームゆえに類似品やニセモノも出回っています。

【AHCC】

AHCCとはActive Hexose Correlated Compoundの頭文字を取った命名で、「活性化多糖類関連化合物」という意味の製品です。数種類のキノコの菌糸を培養タンクで培養し、培養した菌糸の細胞壁に含まれる食物繊維を酵素処理した機能性食品です。 

ナチュラルキラー細胞活性を高める効果が人でも報告されていて、ラットを使った動物実験では、ガン細胞の増殖や転移を抑える効果も報告されています。AHCC の活性成分はα−1, 4結合したグルコースのオリゴマー(α-1,4-Dグルカン)でその一部がエステル化されたものと言われています。

【冬虫夏草 (とうちゅうかそう)】

ガの幼虫に生えたキノコの一種です。このキノコはバッカクキン科のフユムシタツクサタケ(冬虫夏草菌)と呼ばれる菌類で、とくにコウモリガ科の昆虫の幼虫に寄生します。養分を昆虫などから得て寄生生活をし、とりついた昆虫などの体内で、菌糸の固まりである菌核をかたちづくり、やがて虫の体を突き破って、キノコ(子実体)を生じます。学名をCordyceps sinensisといいます。

日本では、1993年の世界陸上大会での中国女子中距離選手(いわゆる「馬軍団」)の大活躍がきっかけに話題となり、冬虫夏草の驚くべき効果が広く一般に知られるようになりました。免疫力を高め、造血作用や血流改善作用によって体力を増強し、疲労回復の促進などの効果が知られており、動物実験などで抗腫瘍効果も多く報告されています。

ラットに冬虫夏草の水エキスを、体重1kgあたり200mg服用させるとクッパ‐細胞(肝臓にいるマクロファージの一種)の貪食能を高めることや、肺ガン細胞やメラノーマ細胞を植え付けたマウスの実験でガン細胞の肝臓への転移を抑制することなどの結果が報告されています。

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