Q10:健康保険が使える漢方薬と、健康保険が使えない漢方薬があるのはなぜですか。

漢方薬も含めて薬について保険が利くというのは、医師の発行する処方箋にもとづいて国から保険適用が認められている医薬品を調剤された場合になります。現在日本では、約150処方くらいのエキス製剤に保険適用が認められており、煎じ薬に使用する生薬も200種類以上が保険で使えます。したがって医師の処方があれば多くの漢方薬は健康保険を使って使用できます。医師から交付された処方箋を調剤薬局に持っていくと健康保険が適用されて、安く薬を入手することができるのです。

健康保険を使って漢方薬を飲みたい場合には、保険診療を行っている病院やクリニックに行って、処方箋を交付してもらわなければなりません。ただしこの場合には、明らかな症状や病気があることが前提です。健康増進の目的といった理由では保険を使って薬を処方することはできません。医療保険は病気の治療にしか使えないからです。

病院やクリニックならどこでも健康保険が使えるわけではないので注意が必要です。病名に沿って漢方薬を出すことはなじまないという理由で、漢方を専門に診ている診療所のなかには、自由診療(自費診療)のところが多くあります。現行の医療保険制度では、使用する漢方薬に適用されている病態や症状や病名がつけられないと、健康保険を使って漢方薬を処方しにくいという制限があるからです。証にしたがった治療を基本とする漢方診療では病名が求められる保険診療が馴染まないため、専門的な漢方治療を行なっている所は自費診療で行っていることが多いのです。したがって、保険を使って漢方薬を処方してもらうためには、保険診療を行っている医療機関に受診しなければなりません。

漢方エキス製剤には、医師の処方によって保険が使える「医療用漢方製剤」と、街の薬局でも売られていて、医師の処方箋がなくても気軽に買える「一般用漢方製剤」があります。「一般用漢方製剤」は保険が使えませんし、「医療用漢方製剤」よりやや効き目が弱く作られています。

現在、約150種類くらいの「医療用漢方エキス製剤」が厚生省から認可されています。この保険が利く「漢方エキス製剤」は最近の調査では7割くらいの医師が処方しているといわれており、病院やクリニックで処方してもらうことができます。ただし、漢方の専門的な知識を持って漢方エキス製剤を処方している医者はまだそんなに多くはありません。「一般用漢方製剤」には医療用漢方製剤に含まれない処方も多く販売されており、薬剤師と相談しながら症状や証にあったものを気軽に選ぶことができます。

煎じ薬も同様に、保険診療を行っている医療機関からの処方箋があれば保険が使えます。現在200種類以上の生薬が保険で使えるようになっています。保険が使えない生薬もありますが、多くの場合は保険が使える生薬だけで十分です。特殊な生薬が必要な場合には、別に自費で買って一緒に煎じて使うという手もあります。

健康増進や体質改善の目的、何となく体調がすぐれないという程度で病名がはっきりしない、病院に行くのが面倒、漢方専門の医者が近くにいない、などの理由で、漢方専門の薬局で自分に合った漢方薬を作ってもらって購入することが実際は多いようです。漢方専門薬局では、漢方や中医学を専門に勉強した薬剤師が相談に乗ってくれて(多くは無料)、漢方的に判断された証にしたがってオーダーメイドの漢方薬を作ってくれます。この場合には保険が使えませんが、薬代の目安は1日分で400円〜700円位が相場です。

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