食物繊維
(水溶性食物繊維、キチン・キトサン、フコイダンなど)


【抗がん作用の根拠】

 野菜や穀物など食物繊維の豊富な食事が、大腸がんなどいくつかのがんの予防にプラスに働くことは、多くの疫学的研究や動物実験から示唆されています。その理由の一つは、食物繊維が便通を促進したり、食事中の発がん物質を吸着して体内への吸収を防ぐ効果があるからです。
 水溶性食物繊維には、乳酸菌のような善玉菌を増やしたり、がん予防効果がある単鎖脂肪酸(乳酸・酪酸など)を増やしたりする効果も示唆されています。腸内環境を改善することは、体の解毒機能を高めたり、免疫力を高める上で重要です。
 キチン・キトサンはカニやエビなどの甲殻に含まれる動物性の食物繊維で、血中コレステロールや血圧を低下させる作用など様々な健康作用が報告されています。動物実験でナチュラルキラー細胞活性化などの免疫増強作用、がん細胞の転移抑制作用、がん縮小作用なども報告されています。
 フコイダンは海藻に含まれる硫酸化多糖類の一種で、食物繊維としての健康作用の他に抗がん作用が報告されています。

【注意すべき点】

 食物繊維の健康作用は広く認められていますが、がんに対する効果は過大な期待はできません。食物繊維のがん予防効果を検証する臨床試験では、否定的な結果も多いのが事実です。消化管から吸収されない食物繊維の場合には、培養細胞を使った実験結果はヒトでの効果を保証するものではありません。
 食物繊維の多い食事は、亜鉛など幾つかのミネラルの吸収を阻害する問題点が指摘されています。キトサンにはアミノ基が付いておりプラスに荷電しているという特徴があり、プラスに荷電したキトサンが、発がん物質などを吸着するという良い面が強調されています。しかし、いろんな物を吸着する性質は、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素や服用中の医薬品の吸収に影響する可能性も有しています。

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