IP-6 &
イノシトール:ナチュラルキラー細胞を活性化するサプリメント
(まとめ)
IP-6とイノシトール(Inositol)は米ぬかから得られる天然成分で、ナチュラルキラー細胞の活性化、抗酸化作用、がん細胞の増殖抑制など抗がん効果があります。 IP-6の発がん抑制作用はイノシトールと一緒に取ることにより増強されることがメリーランド大学のシャムスディン教授のグループにより明らかになっています。 IP-6とイノシトールが4:1で含まれる商品がもっとも抗がん活性が高いことが知られています。
●IP-6・イノシトールとは:
IP-6 (inositol hexaphosphate)
はイノシトールという糖(炭水化物)に、リン(P)が6個結合した物質です。イノシトールは、糖アルコールの一種であり、細胞成長促進に不可欠なビタミンB群の一種として知られています。これらは穀物やマメ類に豊富に含まれています。 食物繊維の豊富な食事は癌予防効果があることが報告されていますが、その理由の一つは、食物繊維に含まれるIP-6に抗がん活性があるからです。
IP-6の発がん抑制作用はイノシトールと一緒に取ることにより増強されることがメリーランド大学のシャムスディン教授のグループにより明らかになっています。
このユニークな組み合わせ(イノシトールとIP─6)は、体内の自然防御システムを 向上させる効果でアメリカで 特許を得ています。(特許No.
5,082,833) 現在、この組み合わせが持つ強力な抗ガン作用についても研究が続けられています。
図:IP-6 (inositol hexaphosphate)
はイノシトールという糖(炭水化物)に、リン(P)が6個結合した物質。イノシトールは、糖アルコールの一種であり、細胞成長促進に不可欠なビタミンB群の一つ。 |
●食物繊維の豊富な食物を食べているのに、IP-6をサプリメントとしてとる必要があるのですか?
IP-6は穀物やマメ類に豊富に含まれていますが、これらをサプリメントとして摂取することは幾つかの利点があります。
まず第一に、穀物やマメ類に含まれるIP-6は、蛋白質やミネラル(カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)と結合して複合体を形成し、消化管からの吸収が悪い状態で存在しています。したがって、食物繊維の形で摂取してもIP-6はほとんど体の中に吸収されないのです。精製したIP-6は、食物繊維中のIP-6より極めて吸収が良いことが多くの研究で明らかになっています。
さらに、IP-6は癌細胞にいち早く取り込まれることが知られています。これはIP-6が抗がん作用を発揮する理由でもあります。動物の発がん実験では、食物繊維を多く与えると癌の発生が低下することが報告されています。その食物繊維に含まれるのと同じ量のIP-6を与えると、さらにがんの発生を抑制する効果が高まりました。
前述のように食物繊維に含まれるIP-6は生体に利用されにくいのので、純粋は形でIP-6を摂取する方が抗がん活性が高いのです。食物繊維の豊富な食事を取ることは大切ですが、それに加えてIP-6をサプリメントとして摂取することは抗がん力を高める上で意義があります。
●IP-6とイノシトールを組み合わせるのはなぜですか?
この絶妙なコンビネーションはメリーランド大学のシャムスディン(Shamsuddin)博士によって発見されました。イノシトールはビタミンB群の一種であり、IP-6の抗がん作用と免疫力増強作用を著明に高めます。イノシトールと適切に組み合わせると、IP-6は体内で2分子のIP-3に変換されることをシャムスディン博士は発見したのです。
イノシトールはIP-6の骨格構造であり、リン原子が結合できる炭素原子を6個持っています。これらの6個の炭素原子が全てリン酸エステル化したものがIP-6です。6個の炭素原子のうち3個のみがリン原子と結合したものがIP-3と呼ばれます。 IP-6の抗腫瘍活性に関わっているのは実はこのIP-3であるという点が重要です。
培養癌細胞を持いた研究で、IP-3は癌細胞増殖のon/offを調節するスイッチの役目を果たしていることが明らかになっています。細胞内のIP-3の濃度が低い時には、その細胞はコントロールを失って増殖します。これは癌細胞の特徴です。癌細胞をIP-3の豊富な培養液に入れると増殖を止めます。これは、IP-3が細胞の増殖や細胞間コミュニケーションなどの重要な細胞機能を調節する中心的役割を果たしていることを意味しています。
シャムスディン博士は、体内でのIP-3が効率的に生成されるために必要なIP-6とイノシトールの比率を発見したのです。IP-6とイノシトールが4:1で投与した場合がもっとも抗がん活性が高いことが知られています。
●IP-6とイノシトールの組み合せはIP-6単独より効果が高い理由。
IP-6とイノシトールを組み合せると、IP-6単独よりP独より抗腫瘍効果が著明に増強さcVャムスディン博士黷驍アとをらは証明しています。この現象は、乳がん、肺がん、大腸がんなどの動物発がん実験で示されています。 例えば、マウスに発がん剤を投与して大腸がんを発生させる実験では、IP-6とイノシトールはそれぞれ単独でもがんの発生率を低下させましたが、両方を組み合わせるとがん予防効果は著明に高まったという研究報告がなされています。
●食物繊維の豊富な食事より精製したIP-6を摂取した方が、抗がん活性が高まるのはなぜですか?
その理由は既に説明していますが、もう少し詳しく説明します。 穀物や穀物加工食品(シリアル)の中では、IP-6は蛋白質と結合して複合体として存在します。IP-6が消化管から吸収されて、体内の組織やがん組織に到達するためには、IP-6はまずこの蛋白複合体から分離されなければなりません。しかし、消化管の中ではIP-6と蛋白質の結合を分解することは困難なのです。 したがって、食物繊維の豊富な食事をしても、抗がん作用の活性本体であるIP-6を十分に吸収することができないのです。精製したIP-6は体の中に吸収されやすいので、抗がん活性がより高いのです。
●IP-6とイノシトールの組み合せは免疫機能にどのような効果をもたらすか?
IP-6とイノシトールの組み合わせは、抗酸化作用と免疫力増強作用の効果を持つことが報告されています。特に、癌細胞に対する免疫力の中心であるナチュラルキラー(Natural killer)細胞を活性化する作用があります。
ナチュラルキラー(NK)細胞というのは白血球の一種であり、がん細胞やウイルスや多くの感染微生物などを殺す役目を果たすので、このような名前がつけられています。ナチュラルキラー細胞は癌や感染症から体を守る重要な役割を果たしている細胞なのです。
IP-6だけでもNK細胞の活性を高めるのですが、イノシトールと組み合わせることによりその効果をより高めることができるのです。
●どのようながんに効果があるのか?
P-6とイノシトールの組み合せは、乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、皮膚がん、肝臓がん、脳腫瘍、悪性リンパ腫、白血病、横紋筋肉腫など、ほとんど全ての癌および肉腫に効果があることが、動物実験などで明らかになっています。
●IP-6とイノシトールを通常のがん治療薬と一緒に使っても問題はないのか。
全く問題はありません。IP-6とイノシトールは抗癌剤や放射線治療など通常のがん治療と一緒に行っても問題は起こりません。むしろ、IP-6とイノシトールはこれらの通常医療の効果を増強する働きがあります。
●IP-6はどのようにがんと戦うのか。
抗がん力の基本は、活性酸素の害から体を守る抗酸化力と、癌細胞を除去する免疫力です。IP-6は体の抗酸化力と免疫力を高める効果があります。その他にも様々な特徴的な抗がん作用を持っています。
IP-6は細胞分裂の制御に関わっています。がん細胞は細胞分裂のコントロール(制御)に異常をきたしています。IP-6はがん細胞の増殖(細胞分裂)のスイッチを切る作用をしています。シャムスディン博士らは、DNA合成の速度を低下させることによって癌細胞の増殖を抑えることを報告しています。正常細胞にはそのような阻害作用は示さないので、IP-6は他の抗癌剤とは根本的に異なるのです。
通常の抗癌剤は、癌細胞のみならず正常細胞も傷つけるので多くの副作用を引き起こします。IP-6は正常細胞にダメージを与えずに癌細胞だけを攻撃することが可能です。
●安全性は?
安全性については、動物実験や人間による臨床試験が多く行われています。その結果、IP-6は極めて安全で、大量に摂取した場合でも副作用は報告されていません。
●IP-6とイノシトールの摂取量は?
がん予防の目的には、1日にIP-6を800-1,200 mg とイノシトールを200-300 mgの摂取が必要です。
がんがある場合や、発がんのリスクが極めて高い場合には、4800〜7200 mg のIP-6と1200〜 1800 mg
のイノシトールを1日の摂取量として推奨されています。
これらは空腹時に摂取する方が効果的です。 最適なサプリメント商品として、Cell Forte IP-6
& Inositol (Enzymatic Therapy, Natural Medicine)があります。
文献:
Absorption and excretion of orally administered inositol hexaphosphate
(IP(6) or phytate) in humans.(ヒトにおける経口投与されたIP-6の吸収と排泄)
Biofactors
15(1):53-61,2001 |
7人の健康人のボランテアが、IP-6の少ない食事とIP-6が通常に含まれる食事を食べて、血中のIP-6濃度を測定。IP-6の少ない食事の場合のIP-6の血中濃度は0.07±0.01mg/lで、IP-6が通常に含まれる食事を食べたときの血中のIP-6濃度は0.26±0.03
mg/lであった。 IP-6の少ない食事をとっている時に、IP-6をサプリメントで摂取した場合、血中濃度は4時間後にピークに達した。IP-6の少ない食事をしばらく続けた後に、IP-6が通常に含まれる食事を再開した場合、16日間のうちにIP-6の血中濃度が正常レベルに戻った。 IP-6の血中レベルを正常に戻すのに、食事中からIP-6を摂取すると長期間かかるが、サプリメントとしてIP-6を摂取すると短期間ですむ。
Effects of exogenous inositol hexakisphosphate (InsP(6)) on the levels of
InsP(6) and of inositol trisphosphate (InsP(3)) in malignant cells, tissues and
biological fluids.
(IP-6投与による癌細胞・組織・体液内のIP-6とIP-3の濃度に対する影響)
Life Sci
71(13):1535-1546, 2002 |
ラットをIP-6が含まれない食事で飼育すると、脳内のIP-6濃度は3.35±0.57micromol/kgで、血漿内濃度は0.023±0.008micromol/lであった。 食事中のIP-6の量は脳と血中のIP-6レベルに強く影響した。 1%のIP-6を含む食事をラットに与えると、脳内のIP-6濃度は36.8±1.8micromol/kg、血漿中の濃度は0.29±0.02
micromol/lであった。 IP-3の濃度は血漿中は0.033±0.012、脳内が4.21±0.55であり、IP-6はIP-3の8.5倍の濃度であった。IP-6の少ない食事を与えると、脳内と血漿中のIP-6のレベルは90%減少した。しかし、IP-3の濃度は変化が無かった。 培養癌細胞株(MDA-MB
231 and K562)ではIP-6濃度は16.2±9.1micromol/kg( MDA-MB 231)と15.6±2.7 micromol/kg (
K 562 ) であった。IP-3の濃度は4.8 ±0.5 micromol/kg(MDA-MB 231)と6.9 ± 0.1 micromol/kg (
K 562 )
であり、IP-6の約3分の1であった。 癌細胞の培養液にIP-6を添加すると細胞内のIP-6の濃度は変わらずに、IP-3濃度は2倍に増加した。(9.5
±1.3 と10.8 ±1.0
micromol/kg) 体外からIP-6を投与すると、血漿内と脳内のIP-3の濃度は変化せずに、IP-6の濃度は増加する。しかし、癌細胞においては、IP-6を投与するとIP-6の濃度は変わらずにIP-3の濃度が上昇した。
G0/G1 arrest and S phase inhibition of human cancer cell lines by inositol
hexaphosphate (IP6).
(IP-6はヒト癌細胞において細胞周期のS期を阻害しG0/G1で止める)
Anticancer Res
21(4A):2393-2403, 2001 |
乳がん細胞株(MCF-7)と大腸がん細胞株(HT-29)を用いて、細胞の増殖に対するIP-6の作用を明らかにするため、細胞のDNA合成活性や、DNA合成に働く蛋白質(Ki-67,
PCNA)の量に対するIP-6の作用を検討した。癌細胞が分裂をするためDNAを合成する時期であるS期の細胞が、IP-6投与により減少し、静止期(G0/G1期)の細胞が増加した。つまり、IP-6は癌細胞の増殖を抑える効果がある。
Protective effect of phytic acid on oxidative DNA damage with reference to
cancer chemoprevention.
(フィチン酸(IP-6)はDNAの酸化障害を防ぐが癌予防効果と関連している)
Biochem
Biophys Res Commun 288(3):552-557, 2001 |
フィチン酸[Phytic acidまたはmyo-inositol
hexaphosphate(IP-6)]は最も有望な癌予防物質の一つである。過酸化水素(H2O2)を発生させて培養細胞のDNAを酸化させる実験系で、フィチン酸は過酸化水素を消去する効果はないが、過酸化水素によって起こるDNAの酸化障害を抑制した。イノシトールにはDNA障害を予防する効果は認めなかった。 フィチン酸は金属をキレートすることによってDNAの酸化障害を防ぎ、癌予防効果を発揮していることが考えられる。
Inhibition of skin cancer by IP6 in vivo: initiation-promotion
model.(イニシエーション・プロモーション・モデル実験における皮膚がん発生のIP-6による阻害)
Anticancer
Res19(5A):3749-3752, 1999 |
マウスの背部皮膚に発ガン剤の7,12-dimethyl benz(a)anthracene (DMBA)
で遺伝子変異を起こし(イニシエーション)、3週間後に腫瘍プロモーターのTPAを塗布して皮膚がんを発生させる2段階発がん実験でIP-6の発がん予防効果を検討。 飲料水に2%のIP-6を混入してイニシエーション時期からIP-6を投与すると、皮膚癌の発生は半分に減少した。しかし、プロモーション時期のみに投与した場合には発がん予防効果は見られなかった。
IInositol hexaphosphate inhibits cell transformation and activator protein 1
activation by targeting phosphatidylinositol-3'
kinase.(IP-6はフォスファチジルイノシトール-3'キナーゼに作用して細胞の癌化と転写因子AP-1の活性化を阻害する)
Cancer Res
57(14):2873-2878,1997 |
哺乳動物の細胞内には10〜100マイクロモル(μM)のIP-6が存在する。IP-6が癌の予防や治療に有効な物質であることが知られているが、そのメカニズムについては不明である。 細胞の癌化を促進するプロモーター(フォルボールエステルなど)を細胞に作用させると、activator
protein 1
(AP-1)という細胞内の転写因子(遺伝子の発現のスイッチを入れる蛋白質)が活性化される。 この論文では、上皮細胞成長因子(Epidermal
Growth Factor,
EGF)で誘導されるフォスファチジルイノシトール-3'(PI-3)キナーゼの活性化をIP-3は阻害することを報告している。IP-6によるPI-3キナーゼの阻害は、EGFやフォルボールエステルによる細胞の癌化やAP-1活性化を阻止する。 つまり、IP-6はPI-3キナーゼを阻害することによって抗腫瘍効果や癌予防効果を発揮している可能性がある。
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