Q-7:漢方治療を活用したがんの治療事例(2):体の治癒力や生命力の可能性を引き出せばがんと共存することもできる。
Fさん(手術時56歳、女性)は右の乳癌で乳房切除を5年前に受けましたが、手術して2年後に肺と肝臓に多数の転移が見つかりました。抗がん剤治療を受けましたが効果はあまりなく、副作用が強いため抗がん剤治療を断念して漢方治療を開始しました。 抗がん作用をもつ生薬と免疫力を高める生薬などを組み合わせて漢方治療を行ったところ、がんの進行は抑えられ、むしろ少しずつ小さくなってきました。3年たってもがんは残っていますが、大きくはならない状態が持続するかぎりがんと共存して延命できそうです。
がんの治療において、がん細胞を取り除くという手段においては、手術や化学療法や放射線療法など西洋医学の治療法が確実です。しかし、がん細胞を小さくすることだけを目標にしても、必ずしも延命効果やQOL(生活の質、生命の質)の改善が得られるとはかぎりません。がんは小さくなったが治療の副作用で患者も亡くなったということが現実に多くあります。漢方治療を併用することにより免疫力や治癒力を高めることができればがん細胞の増殖を抑えたり延命効果を得ることが可能になります。
がんに打ち勝つためには、がん細胞を取り除く攻撃的な治療(手術、抗がん剤、放射線)に加えて、「攻撃的治療に耐えられる体力づくり」と、「がんに対する抵抗力(抗がん力)を高める」治癒力増強のための治療(漢方治療、健康食品、代替医療など)を十分に活用することが大切です(トップページ参照)。がんを攻撃する西洋医学の治療法と、体の抗がん力を高める漢方治療などを併用する治療を「がんの統合医療」と言っています。西洋医学ではがん細胞をターゲットとするのに対して、漢方医学では体全体の抵抗力や治癒力を対象としています。
漢方治療の目的と方法論は西洋医学の手段とは別の次元で働き、お互いに助けあうべき関係にあるといえます。悔いの残らないがん治療を受けるためには、西洋医学だけでなく、漢方などの代替医療の良い点も積極的に取り入れたほうが良いことは明らかです。
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