健康食品は薬効を表示できませんが、「これを飲んだらがんが消えた」というような体験談を載せた本を出版することによってがんに対する治療効果を合法的に宣伝することができます。がんが治ったという症例のエピソードは、実際に効き目があるように現実味を与え読者に強い印象を与えるため、この手の宣伝の常套手段となっており、新聞の広告欄にはこのような本の宣伝が毎日のように載っています。
人によってはある程度の効果があり、がんが消える場合もあることは否定しませんが、この宣伝手段はあたかも多くのがんに極めて有効であるかのような錯覚に陥らせる意図があるといわざるを得ません(そうしなければ高い宣伝費を使って新聞に広告を出しても意味はないからです)。
「普遍性や再現性に評価の基準を求める臨床試験では、体の治癒力に働きかける薬や健康食品の有用性を正しく評価できない」というのが私の意見ですが、その薬や健康食品にどのような効果があるのかについては、動物実験などでの研究結果が公表されるべきです。同じ成分(例えばアガリクス)であっても、商品の違いによって効き目は全く違ってきますので、その商品を用いた実験結果が公表されていないと効果を疑問視せざるを得ないと思います。
たとえがんが小さくならなくても、消化管機能や免疫力などに良い効果があれば延命効果は証明できるはずです。もちろん、人間と動物では効き目が違うといってしまえばそれまでですが、たとえ強い免疫増強効果や抗酸化作用があっても、がんの発生を予防したりがんを植え付けた動物の寿命を延ばすような効果のないものは効果は期待しにくいと思います。
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