健康食品や民間療法の中には、がんの予防や治療において効果が認められているものも多くあります。しかし、がんという患者の弱みに付け込んで、儲けを優先した悪質な業者や全くのいんちき商品もあります。健康食品や民間療法にはどのような問題があるのかを十分理解しておくことが、その被害に遭わないために大切です。
1)高額であればあるほど警戒しないといけない。
健康食品の販売や民間療法に従事している業者の多くは良心的です。しかし、一部には患者の弱みに付け込んで儲けを企んでいる人が多いのも確かです。薬事法違反や全く効かない(プラシーボ効果はあるかもしれないが)いんちき商品を売って捕まった業者は後を絶ちません。
問題はそれによって患者が高額の被害を受けていることです。ガンに効くとうたった健康飲料を売って百億円以上の荒稼ぎをして捕まった業者もいます。いかに多くの人が騙され、無駄なお金をつぎ込んでいるかが判ります。月に数十万円もの費用を健康食品や民間療法に費やしているがん患者さんも珍しくありません。高いものほど効果があると思うのでしょうか、高額なものにも何ら疑いをもたない人が多いようです。本当は、高額であればあるほど、その効果について疑問をもって厳密に調べる必要があるのです。
2)有害な作用を持つものがある。
健康食品や民間療法の宣伝文句には、「天然物だから副作用の心配がない」というような記述がみられます。しかし、健康食品や民間療法も、決して安全とはいえません。中には、健康食品が原因で病気が悪化したり、死亡した例もあります。
薬と違って品質の規制がないため、体に害のある成分が含まれているものも出回っています。海外から輸入された健康食品や漢方薬の中には砒素や水銀などが混入していて腎臓や肝臓の障害を起こした例もあります。輸入漢方薬に血糖降下剤が加えられていたため低血糖のために死亡した例もありますし、健康茶に医薬品であるセンナが含まれていた例、やせる健康食品に甲状腺ホルモンが加えられた例など、多くの「事件」が摘発されています。また、健康食品の中には医薬品と相互作用のあるものもあります。医療機関から処方された薬を内服している人が、ある健康食品をとったことで、薬の効き目が弱くなったり、逆に強くなったりすることもあります。病気がよくなると信じていた人が、実はかえって病気を悪化させていたということにもなります。
「健康食品だから安全」という論理は通じず、「薬でないから品質の保証がない、薬理作用が明確でない」と考えて、有害作用(副作用)には常に警戒しておくべきです。
3)健康食品や民間療法に固執して、治るものが手遅れになることもある。
健康食品や民間療法に頼ったばかりに、正当な医療を受ける機会を逃してしまう事があります。がんの診断や治療においては、西洋医学を優先すべきです。健康食品や民間療法がガンに効くなどと宣伝されていても、まず通常の医療(=西洋医学)を受けることを考えて下さい。西洋医学の治療を補う目的で健康食品や民間療法を賢く利用するという立場を明確にしておくべきです。
民間療法の施術者の中には、中途半端な医学的知識を振りかざして、「がんができている」と脅したり、逆に重大な病気が隠れているにもかかわらず、大したことはないと断言してしまうこともあります。後者の場合、病気の発見が遅れて手遅れになることがあるので問題です。いんちき医療に引っかかると、お金と同時に命までも失うことになるのです。
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