私たちが日常食べている食品には3つの機能があるといわれています。すなわち、栄養の供給源としての機能(栄養機能)、味や香など嗜好を楽しませる機能(感覚機能)、免疫や内分泌や精神作用などを調節する機能(生体調節機能)です。
従来の栄養学においては、食品は栄養素やエネルギー源としての機能が中心でしたが、最近の研究により、食品には私たちの健康を守るいろんな物質を含んでいることが明らかとなり、ガンの予防や治療の面からの食品の研究も盛んになってきました。
アメリカでは1970年台から、国家的プロジェクトとして食生活とガンの発生の関連性を科学的な立場から解明しようという動きが始まり、その後の膨大な研究の成果がまとめられてきました。日頃から摂取する食品の中にガン予防に有効な物質がみつかり、それらの機能を中心とした食品(機能性食品、栄養補助食品あるいは健康食品と呼ばれる)の開発が盛んに行われています。
ガンの発生を防ぐ第1次予防においては、食生活さえ間違っていなければ健康食品や栄養補助剤の摂取は不要で意味がないという意見もあります。しかし、発ガンのリスクが高い病気(ウイルス性肝炎、潰瘍性大腸炎、ある種の遺伝性のガンなど)やガン治療後の再発や転移を防ぐ第3次予防においては、抗ガン力を高めるために健康食品を利用することは有益と考えられます。
免疫機能も体内の酸化防止の能力も20歳台をピークにして年齢とともに徐々に衰えていくと言われており、ガンに罹った人はこれらの抗ガン力がさらに低下していると考えられます。免疫監視機構や抗酸化力を正常に維持することはガンの進展を抑制する手段として重要であり、抗酸化物質を多く含む野菜や緑茶の摂取とガン死亡が逆相関するという疫学的事実もありますから、免疫増強作用や抗酸化性物質を有する健康食品や生薬などを積極的に取ることは意味があることです。さらに最近ではガン細胞の増殖を抑えたり殺したりする作用がある健康食品も出てきました。ただし、これらの健康食品の中にはガンの再発予防にどれだけ有効かという研究結果はまだ十分でない物が多く、品質の悪いものやインチキ商品なども出回っているなど問題も多くあることを知って賢く利用する必要があります。
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