ポリフェノール類
(フラボノイド、茶カテキン、イチョウ葉エキスなど)
【抗がん作用の根拠】
植物に含まれる様々なフラボノイド(quercetin, genistein, resveratrol など)や茶カテキン(epigallocatechin gallate、など)のがん予防効果が報告されています。
これらは構造式の中にOH基を複数含みポリフェノールと呼ばれ、その水素原子が電子供与体となるので、抗酸化作用を示します。水溶性であることからビタミンCとならんで体液中での抗酸化作用に大きな役割を果たしており、抗酸化性ビタミンと相乗的に作用して抗酸化能を高めます。抗酸化作用以外にも、がん細胞増殖抑制、血管新生阻害、転写因子活性化阻害、転移抑制、抗炎症作用など様々な抗がん作用が報告されています。
しかし、ポリフェノール類の抗がん作用の多くは基礎研究レベルであり、ヒト体内で抗酸化作用以外の作用がどの程度期待できるかは不明です。大豆に含まれるゲニステイン(genistein)、ブドウの皮に含まれるレスベラトロール(resveratrol)、茶のエピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate)など、動物実験などで抗腫瘍効果が報告されている成分を使ったサプリメントががん治療に利用されていますが、ヒトについての有効性の証明は十分ではありません。
【注意すべき点】
フラボノイドには血小板凝集阻害作用があり、血液凝固能を低下させる副作用があります。したがって、抗がん剤治療などで血小板数の減少のある場合や手術の場合には、フラボノイド類の過剰な摂取は注意が必要です。
野菜や果物に含まれる様々なポリフェノール類を食事から摂取することは、がんの予防や治療に役立ちますが、精製した単一成分を大量に摂取することは、安全性の問題など不明な点も多く現時点では勧められません。動物実験で示されているような抗腫瘍効果が、安全性を保証できる摂取量において人間で期待できるという証明はまだ不十分です。もし、ポリフェノールを含んだサプリメントを利用するのであれば、できるだけ食品に近い形のポリフェノール含有サプリメントが望ましいと思います。
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