ニンニク、生姜


【抗がん作用の根拠】

 中国では、ニンニクの摂取量が多い地域は、少ない地域に比べて胃がんによる死亡が少ないという疫学的研究が発表されています。ニンニクや生姜のエキスや、それらに含まれる成分の抗腫瘍効果が、動物実験レベルで多く報告されています。米国のデザイナ−ズフーズ計画では、ニンニクと生姜は、がん予防の食品のトップに位置付けられています。 
 体力や抵抗力を高める滋養強壮効果は、古くから民間療法として経験的に認められており、がん患者でも体力や抵抗力を高め、がんを予防する食材として利用できます。また、抗菌成分を多く含み、各種感染症の予防や治療にも有用です。

【注意すべき点】

 ニンニクや生姜は、過剰でなければ特に問題はありませんが、血小板凝集を抑制する作用があるため、手術や抗がん剤治療中は注意が必要です。
 ニンニクや生姜の他に、大量のビタミンCやE、植物フラボノイド(イチョウ葉エキスなど)、魚油のドコサヘキサエン酸(DHA)やサメ肝油など、血小板の働きを抑えて血液凝固を妨げるサプリメントを併用している場合には、個々のサプリメントが適量であっても、相乗効果によって出血のリスクが高まる可能性があるので、他にどのようなサプリメントを服用しているか、総合的な判断も大切です。

【メモ1】抗がん剤治療中や手術前は出血のリスクを高めるサプリメントの服用に注意!


 ニンニクや生姜は、がん予防効果があり、体力や免疫力を高める食材として認められています。しかし、ニンニクや生姜には血小板凝集を抑制する作用があるため、大量に摂取すると出血の副作用が起こる危険性があります。消化管粘膜を刺激する作用もあるため、消化管出血の可能性も高まります。したがって、手術前の摂取は勧められません。
 抗がん剤治療中には、血小板の減少によって出血が止まりにくくなることがあります。つまり、血液の凝固を妨げるような薬や健康食品は、手術や抗がん剤治療中は危険が伴います。
 ニンニクや生姜の他に、大量のビタミンCやE、既に説明した植物フラボノイド(イチョウ葉エキスなど)、魚油のドコサヘキサエン酸(DHA)やサメ肝油などが、血小板の働きを抑えて血液凝固を妨げる可能性が報告されています。ある種のフラボノイドや魚油のDHAには抗腫瘍活性が報告されているので、抗がん剤治療中にこれらを服用している患者さんは多いのですが、出血の兆候に注意が必要です。
 心臓病や脳梗塞の患者さんでは、ワーファリンやアスピリンのように血液の凝固を抑える薬を服用している場合もあります。その場合には、健康食品を使用する場合には、血液凝固への影響に十分な注意が必要です。ワーファリンはビタミンKによって効果が減弱するので、ビタミンKの豊富なクロレラや青汁の摂取は禁止されています。薬用人参がワーファリンの効果を減弱することが報告されています。ワーファリンを服用中は漢方薬を服用するときには十分な注意が必要です。
 また、健康食品を多量に摂取すると肝臓の薬物代謝酵素に影響して、麻酔薬の効き目が弱くなったり、効きすぎたりする場合もあります。ハーブ類が麻酔薬の効き目にどのような影響があるか、十分なデータがありません。したがって、麻酔薬などの薬物の代謝速度や血液凝固能に影響して、手術のリスクを増す可能性があるという理由で、手術の2週間前からハーブは禁止すべきという意見が出されています。血液凝固や麻酔薬の代謝に影響しそうな健康食品やハーブ類などは、手術の1〜2週間くらい前から中止しておくのが無難です。
 このようなリスクのあるサプリメントとしては、・ニンニク(Garlic)、ショウガ(Ginger)、イチョウ( Gingko biloba )、ドコサヘキサエン酸、サメ肝油、セントジョンズワート(St. John’s Wort )、エキナセア(Echincea)、マオウ(Ephedra)、高麗人参( Ginseng )、バレリアン(Valerian)、カバ(Kava)などが知られています。
 手術や抗がん剤治療中に、自分の判断や、家族や知り合いに勧められて、主治医に黙って(隠れて)サプリメントを使用している場合があります。しかし、抗がんサプリメントの中には、血液凝固能に影響する場合や、薬物代謝に影響するものが多くあり、手術や抗がん剤治療との併用で危険な場合もあるということを知っておくことが大切です。

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