がん治療後には再発を予防することが主な目標になります。この際、「全身に散らばっているかもしれない目にみえないがん細胞を、抗がん剤を用いて徹底的に除去しよう」という考えと、「多少がん細胞が体の中に残っていても、免疫力や治癒力をしっかり保ってがんの増殖を抑えよう」という真っ向から相反する考え方があります。漢方では後者の考え方を取ります。
がんは体の免疫力や抗酸化力など自然治癒力や生体防御力が低下してくると発生しやすくなります。組織の血液循環や新陳代謝が低下した状態は組織の治癒力が低下して、がんになりやすい状態にします。漢方薬は抗酸化力の強い成分を多く含み、免疫力を高めたり組織の新陳代謝を改善することによってがん体質を改善する効果を発揮し、がんの発生や再発の予防にも有効です。
例えば、清熱剤や駆オ血剤は抗炎症作用やフリーラジカルの消去や生成抑制により発がん過程を抑制でき、補剤は免疫増強作用によってがんの発生や進展を抑制できると考えられます。実際に、薬用人参や十全大補湯などの生薬・漢方薬による発がん抑制効果が、動物実験や疫学調査で明らかになっています。
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