夏枯草 (かごそう) Prunella Spike

【基原】ウツボグサ(シソ科)の花穂

【薬能・薬理作用】

○漢方で利尿消炎薬として腎臓炎、膀胱炎に効果があり、また化膿性皮膚疾患、眼病等の治療薬として用いられる。

○消痰散結の効能を利用して、各種腫瘍性疾患に応用できる。皮下結節・リンパ節腫・甲状腺腫などに、長期間使用すると有効。一般に玄参・牡蛎・貝母などと用いる。

○胃腸虚弱者には慎重に用いる。長期間服用する場合には、人参・白朮などを配合して脾胃を保護する必要がある。

[常用量/日]9ー15 g

文献的考察

夏枯草には高濃度のロズマリン酸が含まれている。ロズマリン酸は抗酸化作用が強く抗炎症、抗アレルギー作用などもある。
(一般的にシソ科ハーブには高濃度のロズマリン酸が含まれている。)

[Medicinal Lamiaceae with antioxidant properties, a potential source of rosmarinic acid].[フランス語](Lamaison JL, Petitjean-Freytet C, Carnat A.)Pharm Acta Helv 1991;66(7):185-188

夏枯草の抗酸化力はロズマリン酸の含量と関連する。夏枯草には乾燥重量で6.1%のロズマリン酸が含まれている。

抗酸化作用、フリーラジカル消去活性がある。

Antioxidative and free radical scavenging activities of selected medicinal herbs.(Liu F, Ng TB.)Life Sci 2000 Jan 14;66(8):725-735

12種類の生薬をスクリーニングして、黄連(Coptis chinensis), 牡丹皮(Paeonia suffruticosa), 夏枯草( Prunella vulgaris) Senecio scandensに強い抗酸化作用・フリーラジカル消去活性を認めた。

トリテルペン類には抗炎症作用がある。

Anti-allergic and anti-inflammatory triterpenes from the herb of Prunella vulgaris.(Ryu SY, Oak MH, Yoon SK, Cho DI, Yoo GS, Kim TS, Kim KM.)Planta Med 2000 May;66(4):358-360

夏枯草の抗炎症作用の活性成分としてトリテルペン類のbetulinic acid, ursolic acid, 2 alpha,3 alpha-dihydroxyurs-12-en-28-oic acid, 2 alpha-hydroxyursolic acidを同定した。

エイズウイルスの増殖抑制効果がある。

Extract of Prunella vulgaris spikes inhibits HIV replication at reverse transcription in vitro and can be absorbed from intestine in vivo.(Kageyama S, Kurokawa M, Shiraki K.)Antivir Chem Chemother 2000 Mar;11(2):157-164

夏枯草のエキスはエイズウイルス(HIV)の逆転写酵素を阻害してHIVの増殖を阻害する。
その活性成分は腸管から吸収される。(夏枯草の経口摂取がHIV感染症の治療に効く可能性を示唆)

抗腫瘍効果が指摘されている。

The cytotoxic principles of Prunella vulgaris, Psychotria serpens, and Hyptis capitata: ursolic acid and related derivatives.Planta Med. 1988 Aug;54(4):308-311.

ursolic acidに殺細胞作用がある。

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