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癌治療の原則:癌の治療を成功させるためには、原発部位、局所領域への進展、身体の他領域への転移を含め、全ての癌細胞を除去することが必要である。主な治療方法は手術や放射線療法(局所および局所領域の疾患に対して)、および化学療法(全身性疾患に対して)である。他の重要な治療法には内分泌療法(前立腺、乳癌、子宮内膜癌,など)、免疫療法(細胞を殺す内因性の免疫を高める生物学的応答修飾物質および腫瘍ワクチン)、および温度療法(冷凍療法と温熱療法)がある。集学的治療法はこれらの各療法の利点を結びつけた治療法である。腫瘍学用語の臨床的定義は治療法の目標と進歩を明確にしている。治癒の可能性を得るためには,臨床的に明らかな疾患の消失を必要とする完全寛解または完全反応を達成しなくてはならない。完全寛解または完全反応を得た患者は治癒したようにみえるが,まだ生きている腫瘍細胞をもっている可能性もあり,いずれ再発を引き起こすこともある。部分反応とは,単一ないしは複数の腫瘍の大きさが50%以上縮小することである;部分反応は有意な緩和と生存期間の延長につながるが,腫瘍の再増殖は不可避である。患者は無反応であることもある。(以下、略)
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メルクマニュアルは診断と治療の世界標準となっていますから、ここに記載されている内容が西洋医学のがん治療の考え方です。がんの治療を成功させるためには「全てのがん細胞を除去することが必要」であると明確に記載しています。
確かに、がん細胞を全て除去できれば治癒を達成したことになりますが、がん細胞全てを除去できなければ治癒を達成できないという考え方は間違いです。がん細胞が残っていても増殖しないで休眠状態に持っていくこともできます。老衰で死亡した高齢者を解剖すると多くに癌がみつかるそうです。つまり癌と共存したまま天寿を向かえることも可能なのです。全ての癌細胞を取り除くことの意義に関しては、抗がん剤の腫瘍縮小効果と延命効果は相関しない(がんを小さくする効果が強力なものが延命効果があるという証拠はない)、がんの手術で大きく取れば治癒率があがるものでもないなどの事実も十分考慮しておかなければなりません。