「自然治癒力」は「自己治癒力」という言葉が使われる場合もあります。治癒力を「恒常性維持機能や生体防御力や修復・再生力が働く結果」として西洋医学的あるいは科学的に捉えれば「自己治癒力」という言葉のほうが妥当かもしれません。
一方、漢方医学では人間の体をひとつの小宇宙(ミクロコスモス)ととらえ、自然界と対照させ、環境と人体とのかかわりを重視する観点を持っています。地球の自然環境が破壊され汚染されると病気が発生するのと同じように、体内の内部環境のバランスが狂うと病気が発生すると捉えています。そして、川や海など自然界には自浄作用があるのと同様に、小宇宙である人体にも自然治癒力という自ら治す仕組みが存在していると考えています。
このように、人間も自然の一部であり、外界の自然や環境も体の治癒系に影響しており、体の治癒力も自然の力であると捉える漢方医学の生命観をに沿えば「自然治癒力」の方が、漢方医学的にはなじみやすいと思います。