肉を減らして野菜を多く食べることはガン再発予防の基本。
まず食事内容のバランスが大切です。日頃から、肉や動物性脂肪が多く野菜の量が少ない食生活を送っているなら、まず肉をやめて新鮮な野菜や果物や豆類など植物性食品の豊富な食事内容に切り替えます。
【赤身の肉は取らない】
牛肉、羊肉、豚肉などの赤身の肉は極力避けて、蛋白源は大豆製品と魚にし、四季を通じて旬の野菜や果物が豊富な食事をします。ガンの1次予防の段階では、赤身の肉は「控えめ」、「1日80g以下に抑える(米国癌研究財団からの勧告)」、などの表現になっています。しかし、一旦ガンになってその再発予防を目的とする場合には、ガンの増殖を促進する可能性のあるものは極力減らす努力が必要です。牛肉や豚肉などの赤身の肉はガン細胞の増殖を促進する働きがあり、野菜や果物はガンの増殖や悪性化の進行を抑える働きがあります。
【野菜はガン再発を予防する】
野菜の摂取とガンの予後を調べた報告があります。ハワイ大学のメア・グッドマン博士たちが675人の肺ガン患者の食事と生存期間の関係を6年以上にわたって調べた結果、より野菜を食べているものは平均33ヶ月生きたのに、野菜嫌いの患者は18ヶ月の生存期間であったと報告しています。また、ブリティッシュコロンビア大学、フォスター博士がガンの自然退縮(消えて無くなること)した200人を調べたところ87
%は根本的に食事を大きく変えていて、その食事はほとんど菜食主義的な食事をしていたと報告しています。
昔から、野菜は血液をきれいに保ち、動物性食品(肉)は血を汚くすると信じられてきました。実際、野菜の中には抗酸化物質や血小板凝集抑制作用を有する成分が多く含まれているため、野菜の摂取は血液の循環を改善し、新陳代謝や免疫力を向上し、治癒力を増強されることも期待でき、結果として癌の再発予防や治療の効果を高めることができます。
【ガン再発はガン細胞増殖の促進因子と抑制因子のバランスで決まる】
ガンは細胞の遺伝子の異常によって発生します。遺伝子の本体であるDNAにキズ(変異)をつける物質(発ガン物質)をイニシエーターといい、細胞のガン化を促進する要因をプロモーターといいます。一個のガン細胞が発生しても目にみえませんし、体になんの害も及ぼしません。免疫力が十分働いておれば、ガン細胞が増えて大きくなることはありませんが、老化やストレスなどによって免疫力が低下したり、ガン細胞の増殖を促進するような要因が強く作用したりするとガンが発育していきます。
タバコの煙りには発ガン物質が多く含まれていて遺伝子の変異を助長します。炎症があると活性酸素などのフリーラジカルが発生して遺伝子の変異や細胞の増殖が促進されてガン細胞の発育が速められます。脂肪を多く取ると胆汁が多く出てそれが腸内細菌で変化してガン細胞の増殖を速める物質(プロモーター)になります。
ガン細胞は増殖していく過程で次第に多くの遺伝子変異を獲得し、増殖速度も早くなり、転移などを起こすような悪性度の高いガン細胞に変化していきます。これをガンのプログレッション(進展)といいます。このように、イニシエーション、プロモーション、プログレッションという癌の発育段階は遺伝子変異の蓄積の結果として起こり、これを「多段階発ガン」といっています。
発ガン過程の初期(イニシエーションとプロモーションの段階)では、ガン細胞はまだ一人前ではなく、ガン化を促進するプロモーターの作用を止めたり、発ガン抑制物質を多く取ると自然と無くなったり正常な細胞に戻すことができます。これがガンの第1次予防の原理です。ところが、ガンの治療を行ったあと残っている可能性のあるガン細胞は既に転移する能力をもった一人前のガン細胞ですので、もはや正常な細胞に戻すことはできませんし、ガンの1次予防の戦略ではもはや十分な効果を得ることはできません。
転移したガン細胞の再発を抑えるためには、残っているガン細胞を完全に取り除くか、増殖しないようにすることです。ガン治療後に抗ガン剤や放射線照射を行うのはガン細胞を完全に殺してしまうのが目的です。残存ガン細胞の増殖は、増殖を促進する因子と抑制する因子のバランスで決まります。体の免疫力や抗酸化力を高めたり、炎症やフリーラジカルの害を抑えるような薬剤を用いれば、残存したガン細胞の増殖を抑えて再発を遅らせたり防ぐことができます。ガン細胞が少数であれば、免疫力を高めてやれば免疫細胞が残っているガン細胞を殺してくれます。肉や動物性脂肪を減らすことはガン細胞の増殖を促進する原因を減らすことになり、野菜や果物はガン細胞の増殖を抑え、免疫力を高めることになるから、再発予防につながるのです。
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