適切な漢方治療を受けるためには、漢方の知識と経験のある医師の診察を受けるか、漢方に詳しい薬剤師に相談して、証(症状や体質)に合った正しい処方を決めてもらうようにしなければなりません。最近では、大学病院や総合病院の中に漢方を取り入れて診療している医師も増えてきて、漢方の専門外来を開いているところもあります。開業している医師の中にも熱心に漢方を勉強している人が多くいます。しかし、西洋医学的ながん治療にも精通して、専門的な漢方治療を行っている医師や薬剤師はまだ特殊な存在です。漢方の専門家の間でも、がんにおける漢方治療に対する考え方や治療法も様々なのが実情です。
がんの漢方治療を相談できる医師が見つからない場合には、まず漢方専門薬局にいる薬剤師に相談してみることです。職業別電話帳には「漢方薬・薬草」の項目があり、漢方薬専門の薬局を探すことは容易です。がん治療を受けているとき、体の抵抗力や治癒力の低下を最も良くわかるのは患者さん自身です。それを克服するために漢方治療を相談する場合には、漢方薬を真剣に勉強している薬剤師は頼りになります。
医療保険を使って漢方治療を続けたいとか、がんの漢方治療を実施している病院にかかってみたいと思ったら、漢方薬局や調剤薬局に相談すれば、漢方に詳しい医者を見つける情報が得られるはずです。また、漢方製剤を製造販売している製薬会社(ツムラ、ウチダ和漢薬、小太郎漢方製薬、カネボウ薬品など)の支店や営業所が各都道府県にありますので、漢方専門薬局や保険調剤薬局の薬剤師に依頼して最新の情報を調べてもらうこともできます。最近ではインターネットを利用してこれらの情報を得ることも容易になっています。
漢方薬が保険を使って使用できることを知らない患者さんも意外と多いようです。発がんの危険が少ない人ががんの予防を目的に漢方薬を飲みたいと思っても、これは医療保険の適用にはなりません。しかし、がんの治療やがんに付随する種々の症状の改善や治療を目的とする場合には保険が使えます。現在日本では、医療用漢方製剤147処方、煎じ薬の原料となる生薬は228品目が保険の適用を受けています。