第5章:血行改善とリラクセーション法:温泉、運動、マッサージなど
2.快適な入浴で心身の疲労回復とリフレッシュができる
【概要】
【お風呂に入ると疲れがとれる】
【体温に近いぬるめのお湯にゆっくりつかる】
【楽しい入浴で精神的ストレスも発散される】
【概要】
特別な温泉に入らなくても、毎日の快適な入浴が疲労回復と心身のリフレッシュに有効です。体の疲れを溜めないことが、体の抵抗力や治癒力を維持するコツで、38〜40℃程度のぬるめのお湯でゆっくり温まると疲労回復が早まります。がん再発予防にもこのような日々の疲労回復とリフレッシュが大切です。
【お風呂に入ると疲れがとれる】
日本人は昔から風呂好きの民族として知られています。しかし、最近は生活環境の変化でシャワーだけで済ます人も多くなっています。シャワーは体を清潔にするだけですが、お風呂に入ることは、さらに体を温め、血液循環や新陳代謝を促進し疲労回復の効果が高まります。
体が温まると心拍数が増え血液循環がよくなります。血液循環が良くなると栄養物質や酸素の供給や老廃物質の運搬が促進されます。血液中の疲労物質「乳酸」の量を測定すると、入浴後には入浴前の3分の1に減っていたという研究結果もあります。【体温に近いぬるめのお湯にゆっくりつかる】
お湯の温度は人によって好みがありますが、38ー40℃程度の体温に近いぬるめのお湯にゆっくりつかるのが疲労回復に適しています。夏なら38℃程度、冬なら40℃程度のお湯で、顔面が少し汗ばむ程度に15ー30分くらいが適当です。
40℃前後のぬるめのお湯につかると、自律神経の副交感神経が優位になり、体の緊張がほぐれ、リラックスした状態になります。熱いお湯は長くつかっていられないため、体の表面だけ温まって体の中まで温まらず十分な効果は得られません。疲れた体をゆっくり休めるにはぬるめのお湯が適しています。
あまり長時間入りすぎたり、何回も出たり入ったりすると「湯疲れ」をおこしたり、心臓が悪いと負担がかかるので注意が必要です。熱めのお湯に入ると、入浴後1ー2分で血圧が上昇し、その後体が温まると徐々に下がってきます。血圧が高い人は、かけ湯をしてからゆっくりとぬるめのお湯に入ることが大切です。
肩までつかる全身浴は心臓や肺に負担がかかるので、体力が低下している時は、胸までつかる「半身浴」や、腰までの「腰湯」、足だけの「足湯」などが良い場合もあります。全身がお湯につからなくても、下半身が温まると全身の血行はよくなります。肩が肌寒く感じるときには、肩にタオルをかけたり、手でお湯を肩にかけたりします。
足湯は洗面器やバケツに43℃くらいの熱めのお湯を入れて、約10分程足首までつけます。これだけで血液循環は良くなり、疲労回復にも効果があるので、お年寄りや、がん治療後で体力が低下した人には適しています。【楽しい入浴で精神的ストレスも発散される】
目次へ戻る ホームへ戻る 5章-3へ入浴は体の疲労回復だけでなく、精神的なリフレッシュにも有効です。入浴中に好きな音楽を聞いたり、様々な入浴剤を利用して入浴を楽しくする工夫も、精神的なリフレッシュに効果があります。
最近は多くの入浴剤が市販されています。色や香りでリラックス効果を高めたり、保温や保湿効果を高める効果もあります。温泉の成分を含むものは、ナトリウムなど無機塩類の成分が皮膚表面のタンパク質と結合して、薄い膜をつくり熱の放散を防ぐ保温効果があります。
泡状の炭酸ガスを発生するものは炭酸ガスが皮膚から吸収されると毛細血管が拡張して血行が良くなります。薬草やハーブなどの成分が含まれているものは、保温と保湿の効果の他、薬効成分による血行改善や香り成分によるリラックス効果などもあります。
やや熱め(43℃)のお湯に5分間位入って、いったんお湯から上がって20℃くらいの水のシャワーを数秒間全身に浴びるような、温冷交代浴を繰り返すと、自律神経を刺激する効果があります。