がん再発の予防

【医者まかせではがんの再発は防げない】

がんが恐ろしいのは再発する性質を持っているからです。多くのがん患者さんが治療のあとも再発を恐れて日々を送っていますが、再発の予防を医者まかせにしたり、再発は運命だとあきらめている人が多いようです。しかし、がんの再発は自分自身の努力次第で遅らせたり防ぐことが可能なのです。

【がんの多くは再発する宿命をもっている】

腫瘍には良性腫瘍悪性腫瘍が区別され、良性腫瘍は増殖が遅く局所的に細胞の塊を作るだけですが、悪性腫瘍は周囲の正常な細胞や組織をも破壊してしまう性質を持ち、さらに血液やリンパ液に乗って離れた臓器に飛んで行き、そこで新たな腫瘍を形成します。これを転移といいます。細胞の増殖速度、細胞同士の接着や運動、老化したり不用になった細胞の除去、などは遺伝子の働きによって厳密に調節されていますが、このような遺伝子に異常が起こって、ブレーキが壊れた車が暴走するように、正常な組織を破壊し、他の臓器に転移を繰り返しながら、無限に増殖しつづけ、ついには宿主である人間を死にいたらしめるものが悪性腫瘍、すなわちがん(癌)なのです。

良性腫瘍はその部分を切り取れば完全に治ります。悪性腫瘍(がん、肉腫)も転移する前に完全に腫瘍を切り取れば治るのですが、がんは診断された時点、つまり目にみえるほど大きくなった時点ではすでに他の場所に転移していることが多いため、再発する宿命を持っているのです。

【がんの3次予防(再発予防)がクローズアップされてきた】

日本で2013年に新たに診断されたがん(罹患全国推計値)は約86万人(男性は約50万人、女性は約36万人)です。
2016年にがんで死亡した人は約37万人(男性は約22万人、女性は約15万人)です。
2006年から2008年にがんと診断された人の5年相対生存率は男女計で62.1%(男性59.1%、女性66.0%)と報告されています。5年以上経過してから再発で亡くなるがん患者さんも多くいます。したがって、がんと診断された人の40%くらいの人ががんで亡くなっている推測されます。

この悲惨な状態を改善するための一つの手段は、がん検診によって転移の起こっていない早期の段階で見つけてがん細胞を取り除くことです。がん組織がまだ小さくて限局している段階では転移が起こっていることが少ないので、適切に切除すれば良性腫瘍と同じように完治することができるからです。この早期発見・早期治療によってガンによる死亡を減らそうという戦略をがんの第2次予防といいます。しかし、がん検診で見つかった場合でも、例えば、胃がんでは5%、肺がんでは25%ですでに遠隔転移(他の臓器への転移)が見つかっています。顕微鏡でしか発見できない微小な転移はもっと高頻度に起こっているはずです。つまり、検診で見つけた段階でも、確実に治せるとは限らないのです。また、いくら早期発見・早期治療を行ってもがんになる人を減らすことはできません。

そこで、がんで死亡する人の数を減らすには、がんになる人の数を減らすことが最も大切であることが認識されるようになりました。禁煙などのライフスタイルの改善や食生活の改善によってがんになる率そのものを減らすことを第1次予防といいます。この第1次予防ががん患者数の増加を食い止める根本的な解決法であることは間違いありません。

しかし、現実問題として、第1次予防や2次予防を徹底しても、がんの患者数を減らすことには限界があります。環境中から全ての発がん物質を取り去ることは困難であり、DNAにキズをつける活性酸素は絶えず体の中で発生しています。毎日1000億個くらいの細胞が細胞分裂によって新しい細胞に置き換わっていますが、この細胞分裂をする時のDNA複製ではある確率で遺伝子変異が発生します。診断のための費用や労力との兼ね合いで、早期のがん細胞を見つける検診の有効性には限界があります。

年間80万人以上の人ががんにかかるという状況は当分の間は変わりそうもありません。むしろ増え続けるというのが大方の予想です(2018年には1年間に100万人以上にがんが見つかると推計されています)。
そこで不幸にしてがんに罹った人にとっては、がん死から逃れる方法が必要となっています。一旦がんを治療したあとに再発や転移を予防することをがんの第3次予防といいます。医学の進歩によってがんを取り除く治療法が進歩してくると、がん治療の宿命である再発の予防がガン死から免れるキーポイントとしてクローズアップされてきました。

【がん再発の予防のために自分でやるべき事がたくさんある】

がん治療の基本は、外科手術で悪い細胞を切り取ってしまうことです。手術がうまくいくと患者さんは病気が治ったと思いますが、がんが他の病気(例えば外傷や奇形など)と異なるのは、手術がうまくいったと思っても再発する危険性が残っていることです。その理由は、病気の原因であるがん細胞が全身に散らばって無限に増殖する性質を持っているからです。

がんの手術をしたあとは、患者さんのみならず主治医も再発が心配です。そこで、他の臓器への転移や手術後の取り残しが予想される場合には、残っている可能性のあるガン細胞を抗ガン剤や放射線によって殺す治療法(術後補助治療という)を行ないます。目に見えなくても、残っている可能性があるがん細胞を抗がん剤や放射線照射によって叩いておくほうが再発予防には効果があるからです。しかし、強力な抗がん剤投与は免疫力や抵抗力を低下させることによって再発を促進する可能性も指摘されており、その手加減に関しては議論の余地があります。

がんが小さくて転移の可能性がないと考えられる場合には、がん細胞を完全に切り取れば治療は終了となりますが、このような早期のがんでも再発することがあります。がんが目で見えるほど成長した段階では既に数億個以上のがん細胞が増えていて、その一部がリンパ液や血液の流れに乗って遠くへ転移している場合があるからです。手術後に再発(転移や局所再発)が見つかれば、がん細胞を取り除く治療(手術、抗がん剤、放射線)が再開されます。

このように、がんの治療後に転移や再発を見越した補助治療が行われていますが、医者が行えるのは薬や放射線などを使ってがん細胞の増殖を抑えることが中心となります。がん細胞を直接攻撃する治療法以外にも、がんに対する抵抗力を高めるための健康食品や自然療法や伝統医学などの活用、再発のリスクを減らすための食生活やライフスタイルの改善、心の働きで体の自然治癒力を高めるイメージ療法や精神療法など、患者自身で行える再発予防の方法がたくさんあります。
このような治療法は先進国で一般的に行われている通常療法(=西洋医学)とは区別されて代替療法と呼ばれています。代替療法の多くは医学部で教えていないこと、健康保険を使って行えないこと、臨床効果の証明がまだ十分でないこと、などの理由により医者が行うことはほとんどありません。

代替療法の中にはがんの再発予防や治療に有効なものもたくさんあり、これらを適切に使用すれば、がんの再発を遅らせることも防ぐことも可能なのですが、医者が指導してくれない以上、自分で勉強して実行するしかありません。がんの種類や進行度、体力や体質や性格、食生活や生活習慣などによって、がん再発予防のために必要な方法は患者さんそれぞれで違ってきます。患者さん自身が自分のがんの再発を予防するために何をすべきかを判断し、実行することが大切です。

以下の項目は自分でできるガン再発予防法のヒントです。「がん予防」の項目も参考にして下さい。

1。がんの再発はなぜ起こる
2。肉を減らして野菜を多く食べることはがん再発予防の基本
3。青みの魚のDHAはがんをおとなしくする
4。納豆、味噌、豆腐など大豆製品に含まれるイソフラボンはがん細胞の増殖を抑制する
5。アブラナ科野菜(キャベツ、ブロッコリー、ケールなど)は抗がん力を高める
6。ショウガはプロスタグランジンE2の合成を阻害してがん細胞の増殖を抑制する
7。きのこ類に含まれるβ-グルカンは免疫力を高めてがんの増殖を押さえ込む
8。抑うつ的な性格は乳がんの再発を促進する/うつ状態にならないためにはどうしたらよいか
9。セレニウム(selenium)は抗酸化力と免疫力を高めてがん再発を予防する

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